阪神淡路大地震震度7・何が生死を分けたのか(NHKスペシャルから)

つくし野4丁目自主防災支援隊では、必ず来ると言われている東京直下地震に備えて、住民の安心・安全に資するように勉強して居ます。
今回の内容は、2016年1月17日にNHKで放映されたものからの抜粋です。文字でのお知らせですが、映像はアーカイブでご覧頂けます

 当地区は住宅地であり木造家屋が中心です。町田市の消防車の数から考え、所謂「放任火災」を避けるためにも、地震による火災発生に対応して、スタンドパイプを装備し訓練をするなど、火災に供える訓練をしています。

 一方で火災を起こさないためにも、本文にもあります様に「通電火災」を回避するためにも、「感震ブレーカー」の各戸装備を目指し、
広報に努めています。

震度7 何が生死を分けたのか (NHKスペシャル)
~埋もれたデータ 21年目の真実          2016年1月17日放送
                        
『史上初めて震度7を記録し、6,434人が犠牲となった阪神・淡路大震災。 実は21年前の被災直後、“生と死”に関する大量のデータが収集された。死の原因、家屋倒壊の状況、火災の広がり方、救助の 動き・・・・。 これらのデータは耐震補強の重要性など、様々な教訓を導き出した一方で、技術に限界があったため、多くが十分な分析を受けずに残されてきた。

NHKではこれらのデータを再発掘し、最新の分析技術で1月17日に何が起きていたのかを可視化するプロジェクトを立ち上げた。複数のデータに時間経過も組み合わせて、命がどのように奪われていったのか、その全貌を“再現”すると、見落とされていた都市直下地震の“真の姿”が明らかになってきた。
①発生後1時間以内に犠牲者の8割近くが集中するその意外な原因、②揺れから2時間以上たって発生し命を奪う謎の火災、③半日以上たっても救助が進まない都市ならではの弱点、見えてきた教訓の多くは今も根本的な対策がとられないままだ。

都市直下地震で命を落とすとはどういうことなのか、その現実を明らかにするとともに、命を守るために今、何をしなければならないのかを考える。』                  (NHKホームページより)

震度7 何が生死をわけたのか?
1995年1月17日午前5時46分 兵庫県南部(淡路島北部)を震源として起きた震度7(M7.3)の 直下型地震 阪神淡路大震災では10万棟余りの建物が損壊し、6、434人の尊い命が失われた。あれから21年目で死者6,434人の内、地震当日に亡くなった5,036人(97%)の『死体検案書』から初めて明らかになったのは各人別の ①死亡原因 ②死亡場所 ③死亡時刻から見えてきた事実である。 地震発生から1時間後の生存者は911人いたが、この人達を原因不明の火災が襲い、5時間後にはまだ500人近くが助けを待っていた。
もし『備えがあれば救えた命もあった』と言う事は今後発生が予測される首都直下地震への対策が見えてきたと言えるのではないか。

     ① 窒息死を防ぐ耐震性の低い住宅の耐震化を進める事
    必要な対策とは;   ② 命を奪う“通電火災”への備えをする事
                  ③ 救助を阻む渋滞への対策をとる事
       
上記はいずれもその重要性は従来から指摘されてきたことではあるが対策は現状ではまだ不十分であり、あの日の悲しみを繰り返さないために、大切な人を失わないように亡くなられた一人一人の死体検案書を通して託されたメッセジから命を守る一歩を踏み出さなければならない。
初めに阪神淡路大震災の犠牲者の死亡原因は何であったか? 犠牲者の死体検案書から解析すると死亡原因は圧迫死、全身打撲、窒息死、内臓破裂、多発性外傷、圧挫死、即死、多発性臓器破損、多臓器損傷、腹部内臓破裂、ショック死、内臓損壊、等々であった。
   
地震が発生した当日に亡くなった5,036人の記録に44万棟の建物被害を重ね更に当日発生した   205件の火災の記録、道路データと消防の救助隊の動きのビッグデータを活用して発生直後、1時間後、5時間後の時系列で検証した結果、必要な対策を取っていれば救える命があった事が分かる。地震発生1時間後に死亡したのは3,842人で当日死亡者の約75%であった。この地震で建物の倒壊被害が最も多かったのは耐震性の低い住宅が密集する神戸市東灘区であった。また大きな火災が発生したのは神戸市長田区でありこれらの地区は共に震度7を記録。
    
地震発生1時間以内の犠牲者の死因の90%は圧迫死であり、残り7%は焼死。圧迫死の内の61%は窒息死(2,116人)であり、圧死(即死)はわずか8%。 これらの数字から窒息死した犠牲者も地震発生時からある程度の時間は生きていた可能性がある。
         
地震による窒息死はなぜおきるのか? 通常呼吸は横隔膜や胸が動くことで行われるが柱や梁が胸や腹にのると骨が折れない程度の重みでも呼吸ができなくなり外傷性窒息となる。実際耐震性の低い木造住宅が多い神戸市東灘区で倒壊した柱や梁の下敷きになり窒息した犠牲者が多かった。

倒壊建物のがれきが足に倒たり、のれば怪我や骨折程度で済むが胸やお腹の上にのった場合窒息死は誰にでもあり得ることで60代、70代の高齢者は当然多いが20代の若い人でもある程度の重みで  窒息することもあり、窒息死を防ぐ方法は建物の耐震化しかない。 
      
震度6強で倒壊の恐れのある建物は全国にまだ約900万棟もあり、一刻も早い耐震化が求められる。
  
地震発生1時間後までの生存者は911人で助けを待っていたがこの人達を襲ったのは地震から時間をおいて発生した火災であった。地震直後の火災は113件でしたが、1時間以降にも92件の火災が発生し命を奪った。  地震直後ではなく地震発生から1時間以降に発生した火災で亡くなった犠牲者は85人にのぼった。

神戸市長田区の場合地震発生4時間後に突然原因不明で出火したが停電後に一時通電され、その直後に火災が発生した為、通電火災ではないかと疑われた。最近の調査により通電火災ではないかと疑いが強まったのは39件。これは地震から1時間以降におきた火災の40%余りにのぼる。    最近の調査から通電後2時間以内に発生した火災は“通電火災”の可能性が高いと想定される。
 
通電火災の防止には「感震ブレーカー」*が有効であると判明しているが国の調査ではその普及率はまだ6%である。安価な感震ブレーカーは三千円程度で購入できるものもある。 今急ぐべきは延焼被害の危険性の高いところに対して重点的に感震ブレーカーの普及を進めて行く事です。
地震発生から5時間後被災地では新たな局面を迎えていた。  この地震発生から5時間後の生存者は477人でまだ助けを求めていた。この方達が助けられるかどうかは、いかに迅速に助けに行けるかどうかにかかっていたが、問題は現場に行くまでの消防、救助隊の行く手を阻む道路の渋滞であった。
  
兵庫県では救助の手が圧倒的に不足していた為全国の消防に応援要請した結果救助隊が全国から駆けつけたが、その迅速な到着を阻んだ意外な要因は大渋滞でした。例えば大阪側から国道2号線を使って倒壊被害が多かった神戸市東灘区の被災地に向かおうとした道路では橋ゲタが約30㎝陥没しており復旧に時間がかかり午後7時頃にはようやく車道右側の歩道に応急措置をして車を通すようにするが 渋滞がひどく救助隊の到着が大幅に遅れ助かる命も救えなかった状況が発生。この時の救助隊は大阪から神戸の被災地到着まで通常の5倍以上の時間がかかっていた。

道路渋滞の原因は道路の損傷だけでなく大地震発生時には避けるべきマイカー利用による安否確認(20%)、出勤(16%)、その他(44%帰宅を含む)等が渋滞の大きな原因となった。 地震発生1時間後の交通渋滞の発生状況は時速10㌔以下の渋滞で地震発生1時間後に既に多くの幹線道路が渋滞して
いた。 
 
渋滞が発生した他の原因は東日本大震災時にも見られた帰宅困難者が車道に溢れた事が渋滞に拍車をかけた。 大地震が発生した場合は警察が一般道路の通行規制等必要な交通規制をし、救助を阻む道路渋滞を防ぐための方策や緊急車両を優先的に通すような対策が必要。また道路の陥没や橋・陸橋の崩壊時の緊急修理方法等の事前訓練・対策も必要。

渋滞は直接的に人を殺すものではないが、助けられる命が渋滞により間に合わず助けられなかったと言う意味で間接的な影響は非常に大きいことを認識すべきである。 

阪神淡路大震災から既に21年経った今でも、未だ解決されていない課題が沢山残っている。首都直下地震に備える為にも早急な対応が求められるところである。                                               
(2016/1/17放送のNHK番組録画からの抜粋・自主防災支援隊としての纏め)

(注) ⑴ 上記の放送内容をご覧になりたい方は、NHKオンデマンドから上記番組(¥216税込)を
ご覧頂けます。 又は下記YouTubeにて公開されている映像もご覧頂けるようです。
https://www.youtube.com/watch?v=u9ARQ04uOdE

   ⑵ 感震ブレーカーについて詳しくお知りになりたい方は添付の下記をご参照下さい。
ⓐ(啓発用チラシ) 内閣府/経済産業省HP 
ⓑ詳しくお知りになりたい方は内閣府、消防庁、経産省共同企画の下記PDFをご参照下さい。
感震ブレーカー等の性能評価ガイドライン(平成27年2月17日)  

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